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世良順 作品展 「銅の言葉、真鍮の時間」
9/15(土)〜24(月・祝)
作者在廊日15・16・17

世良順 作品

人の手に磨かれた木肌の艶。古い真鍮の鈍い光。
取っ手や水栓、蝶番や螺旋。使い込まれた生活具の表情が
幼い頃から好きだった。
建具屋に生まれ育ったので、ぴかぴかの金具や削りたての
木製品が身近にあったのに、時が育んだ( そんな言葉を
幼い私は知らなかったけれど )ものが放つ「何か」に惹か
れていた。

15年も前、初めて世良さんの作品に出会ったとき、
不思議に懐かしさかった。
銅や真鍮といった金属が、ジュエリーという姿で鎮まって
いる。
それは作られたばかりなのに、どこか古いものの美しさを
放っていて。

今、世には新骨董という言葉が生まれ、ジャンクと呼ばれる
古びた表情を求める人も多くなった。
始まりはきっと捉われない自由な心で、美しいと思うものを
求めたのだろう。
けれどいつしかそれもスタイルになって、安易なものが巷
に溢れている。

時が育むもの。
それは「何か」の部分ではあるけれど、すべてではないと、
世良さんのジュエリーと過ごして思うようになった。
素材を時任せにするのではなく、ひとつひとつの細部に、
作り手の眼と技術と心を十全に映していく。
「何か」は作る人に結ばれている。

深いもののさりげない姿。
世良さんのジュエリーを身につけて、幸福に時と添いたい
と思う。

sanae inagaki